大市民 全10巻(著:柳沢きみお)
「大市民 全10巻」(著:)を読みました。
単行本の発売は1992年6月からとなっています。10巻発売は1997年9月と、約7年間に渡って発売された漫画です。
著者の分身と思われる山形鐘一郎が、周りの住人たちと過ごす中で、個人的な思いをつらつらと語っていく漫画となっています。
多くは社会に対しての指摘で、他にもスポーツなどを取り上げています。
時には鋭く、時には明らかにおかしな考えを振り撒いたりしますが、それでも話す言葉には一家言があり、受けてとしてもいろいろと考えさせられたりします。
特に、バブル崩壊後からの連載のため、その当時に対する批判や嘆き、大人の幼稚さや子供の荒み具合などを的確に指摘。今にも当てはまる内容も多いため、飽きずに読むことができました。
社会風刺だけでなく、食事に対してもうるさく、とくにビール好きのため、ビールの飲み方や味にうるさかったりします。しかし、通というようなうるささではなく、自らがおいしいと思うものを率直に述べているだけですので、ワイン通などのような鬱陶しさがなく。
食事も寿司へのこだわりが強く、何度も寿司を題材にした話も登場します。
山形鐘一郎のキャラクターの濃さや、その周りの人とのやり取り、そして、話そのものの魅力。絵そのものはきれいではないので、絵柄を求める人には向きませんが、ぜひ一度は読んでもらいたい作品です。
特に大人は一度読み、今一度自らのことを振り返るとよいでしょう。
以前10巻を一日で一気に読んだ漫画があると述べましたが、この本がそうです。やみつきになる内容で、今でも時折読んだりしています。