思考の整理学(著:外山滋比古)

「思考の整理学」(著:外山滋比古)を読みました。

読むきっかけとなったのは日本経済新聞2007年12月12日夕刊の「ベストセラーの裏側」にて取り上げられていたからです。

「思考の整理学」自体は1986年に文庫化された本で、すでに20年以降経っていることになります。この元となっている本は1983年ですので、かなり古い本であることは確かでしょう。

しかし、2006年8月の段階で累計部数が17万本のところを、その後の1年で33万部まで、約16万部増加したとのことでした。

そのきっかけとなったのが地方の書店「さわや書店」の店員「松本大介」が書いたPOPとのことです。そこには「“もっと若い時に読んでいれば…”そう思わずにはいられませんでした。」と記されていたそうで。このPOPにより、同店でのこの本の売れ行きがアップしたそうです。

この状況を出版社が見て、他店への展開を行ったそうです。それにより、16万部増という結果になったのでしょう。

さて、実際の本の内容ですが…。

今の世の中、ノウハウ本が多数発売されていることもあり、今更感がないわけではありません。内容もノウハウ本のようではあるものの、文章で語られている部分が多く、端的に結論を求める人には不向きに思えます。

しかし、書いてあることは納得する部分も多く、この内容が既に20年前に本の形で出ていたことに驚かざるを得ません。

書店員の「もっと若い時に読んでいれば…」というのは、比較的年配の方が書いたのだと思うのですが、その人が若い時に読んでいれば、また違った人生が歩めたのでは、と思うのもわかります。

個人的に役立てたいと思った内容としては次の点があります。

・朝起きて仕事をして、その後寝て、再び起きることによって、朝の時間を2回作ることができる。

ここ最近、朝にやるべきことをやっているのですが、これがすこぶる進行具合が良く。このため、1日に朝を2回迎えるという考え方は確かに効果があるかと思います。

この考えを得られただけでも、私はこの本を読んだ価値があったと感じます。

それにしても、20年以上前にもブレインストーミングという言葉はあったのですね。最近出てきた言葉かと思いましたが、本に記載されていて驚きでした。

多数のノウハウ本が出ている現在、この本を進められるかどうかというと微妙なところではありますが、それでも20年間生き残った本でもありますし、含蓄ある言葉も多いため、今まで簡単なノウハウ本のみで済ませていた人は一読してみるのも良いかと思います。文庫サイズなので、外出先に読むのにも適しています。