間違いだらけのMBA(著:喜多元宏)
「間違いだらけのMBA」(著:喜多元宏)を読みました。
MBAとは「Master of Business Administration」の略で、日本では経営学修士とか言われるそうです。
ただ、海外でのMBAと日本のMBAとでは、その性質が異なっているようで、そうした話を中心に、本著ではMBAとは何なのか、海外との違い、MBAの在り方などを語っています。
海外では実用的なものを取り扱うのに対して、日本のMBAはいかにも日本らしい詰め込み教育型のようです。また、スクール側が金儲けのためだけにやっている面もあるため、教育の質自体も悪いとのこと。
このため、日本のMBAはなんちゃってMBAみたいな扱いを受けるようで、少なくとも海外の企業に対して日本のMBAを取得しました、といっても、あまり価値はないようです。
MBAを取得する価値ですが、平均年収は日本円にして1000万円(約10万ドル)程度はざらで、トップクラスのスクール出身だと1500万円(約15万ドル)も当たり前のようです。
ただ、トップクラスのスクール出身であると、それだけのものを要求されるため、MBAを取得したから将来が保障されるわけでもなく、その後の修練も必要となります。
これは海外や外資系の話で、日本では、海外でMBAを取得して帰ってきても対して認められず、また、与えられる仕事も、決して学んできた内容を有効に使えるようなものでもないようで、宝の持ち腐れになってしまっているとのこと。
こうした日本と海外とのMBAに対する考え方の違いなども本著では触れられています。
そして、アジア地域でのMBAの状況も語られており。今、日本からまともなMBAを学ぶためには、欧米に留学しなければならないのですが、最近はアジアのスクールでも十分とのこと。実際に、世界的なスクールランキングで10位以内にアジアのスクールが入っており、日本人からしたら身近なところで学ぶ機会が増えるという点で今後ますます注目されます。
基本はMBAとはなんなのかに関する内容ですが、日本がなぜ世界的に劣等性になってしまっているのか、といった問題にも言及しています。
今後、もしかしたら経営者を目指すのであればMBAを取得しているのが当たり前の世の中になる可能性もあり。自らが学ぼうとするためのきっかけとして読むのもよし、MBAってなんなんだという興味心から読むのもよし、そして、日本と世界との雇用上の問題を知るために読むのもよし。これらに興味があるのであれば、一読してみると良いでしょう。
最後に、なぜか単語のすぐ横に英語表記をしており。小難しい英語の本を読むより、この本を読んだ方が単語の意味などを理解しやすいかもしれません。著者としても、日本語で書くより、英語で書いた方が、より正確に物事が伝わるのではという思いで記載されていると思いますし。