ワークシェアリングを積極的に採用すべき

ワークシェアリングとは、仕事を分け合うといった意味合いです。一人がやっていた仕事を二人でやれば、その分雇用が増えるというわけです。一人に支払われる給与では落ちてしまうものの、雇用を増やすためにやったらどうかということで、最近再び話題になっています。

個人的には、ワークシェアリングは積極的に行うべきことだとは思います。

ただ、企業がワークシェアリングを積極的にできない理由も多々あります。

主に次のとおりです。

・雇った人を気軽に切れない
・給与管理等が増え、面倒になる
・そもそも、サービス残業をさせているので、仕事を分けたら実質損になる
・労働組合がうるさい

まず、一度雇ったら気楽に人を切れないという問題があります。これはまた別の機会に述べますが、人を増やしていって、業績が悪くなってもなかなか人切りができないこともあり、ワークシェアリングに消極的にならざるを得ません。

その結果、派遣等で補うわけです。

次に、給与管理等が面倒になる点もあるでしょう。人が増えれば、その分給与や社会保障費等を管理しなければならず、年末調整の手間も増え、事務方が苦労することになります。では、そこでまた人を雇うとなると、企業としては負担が増えてしまうわけです。

サービス残業の問題もあります。サービス残業をさせているところこそ、本来ならばワークシェアリングを採用しなければいけないのですが、サービス残業をさせるということは、給与をあまり払いたくないという実情があるわけです。そうした会社が積極的にワークシェアリングを採用するわけがありません。

仮にしたとしても、本来の給与を下げられ、なおかつ、新たに雇った人もサービス残業をさせられる可能性が高いといえるでしょう。

最後に、労働組合がうるさいという点もあるでしょう。自身の現在の都合を最優先して考え、ワークシェアリングによる給料の低下を阻むために拒否するわけです。

以上を考えると、とりあえずは残業代をしっかり払っている会社がワークシェアリングを採用するのが良いのではないかと思います。

そうすることで、現在の社員も時間的余裕が生まれ、別の角度から事業を見て会社の発展に役立つかもしれません。また、空いた時間で余暇を過ごすだけでなく、何かを学び、スキルを身につけることもできます。

今、日本人に足りないのは時間だと思われます。特に本来なら優秀、もしくは優秀になる可能性が高い人物であっても、残業残業で新たな知識を得る機会を失い、結果として一段高い位置に自らを置けないという人は多いと思われます。

もし、そうした人が学ぶ時間を得ていくことができたなら、最終的には企業は更なる発展をする機会を得られ、また、日本としても海外にそうそうたやすく負けない国となりうるのではないでしょうか。

これだけ多くの国民が単一言語で意思疎通のできる国はそうそう無いにもかかわらず、現在の体たらくぶりを見ていると、まずは優秀な人に時間を与えてくれ、という思いが募ります。

まあ、それでも、最初に述べたように、いざというときに人を切ることが困難な状況があるだけに、そうそうワークシェアリングを採用しにくいのでしょう。この辺りは、法律の改正が望まれるところです。

この話は、別の機会に話す「企業が人を切りやすい体制に」でも語りたいと思います。