ニューリッチの王国(著:臼井宥文&光文社ペーパーバックス編集部)

「本当の豊かさとはなにか? ニューリッチの王国」(著:臼井宥文&光文社ペーパーバックス編集部)を読みました。

ニューリッチといってもあまりピンとこないかと思いますが、簡単に説明すると、比較的新しくお金持ちになった人という意味で使われているようです。昔から金持ちで、それを相続して引き継いできたような人とは、また別として扱われています。

この本では、そうした新たに金持ちになった人のお金の使い方や考え方などを中心に、その周辺ビジネス、格差問題、そして、日本の破滅的な将来に対する考え方などを取り上げています。

多くがインタビューなどを元にした話で、ニューリッチの豪勢な暮らしぶりを知ることができます。その一方で、決してお金だけでない信念のようなものも窺え、それが最終的に日本の将来に対する心配と、どう対応していくべきかという考えにいたっている人もいるようです。

暮らしぶりに対する興味は当然あるので、そうした面で読み進めるのもよいのですが、日本の将来に対しての考えにも共感を覚えるところであります。

過去に松下幸之助や井深大、盛田昭夫、などなどが政治の世界に打って出ようとした話がありますが、それに近いような動きをしようという話も載っており。過去は実現しませんでしたが、ぜひ今回は実現し、日本そのものを生き返らせてもらいたいと思う次第です。

また、海外では収入の一割は寄付に回すという話をよく聞きますが、その概念がキリスト教から来ていたことも、この本で初めて知ることができました。「十一献金」という呼ばれ方をするそうです。

日本では、そうした概念自体がありませんし、金持ちに対して感謝をすることもなく、逆に僻み、つぶしていく概念のほうが強く、また、税制面でもさっぱり整っていないため、寄付額が他の国と比べて極端に低いという話も載っています。
民間企業や基金、そして個人から民間非営利セクターへの寄付がGDPに占める割合に関する統計というものがあるようなのですが、それでは35か国中29位とのことです。

金持ちについて知るだけでなく、さまざまな話題も織り込まれていますので、興味がある人は一読してみるのもよいのではないでしょうか。自らを奮い立たせる材料にもなるかもしれません。