松下幸之助が直接語りかける人生で大切なこと
『松下幸之助が直接語りかける人生で大切なこと』を読みました。
CD付きのため、オーディオブックの役も担います。
松下幸之助氏による過去の発言の中から、人生観に絡む話を10話分取り上げています。
本の方には10話分の話と、それにちなんだ話を少々掲載。
このシリーズの中では、今巻が一番のお気に入りです。
特に1話目と2話目が秀逸です。
1話目で語られている下記の部分をまずは紹介したいと思います。
『ところが現在の社会は、そういう点もないとは言いませんが、多く他に依存して、自分もよくなろうというような傾向が強いと思うんですね。
(中略)
ところが今は、すべての人と申してはお叱りをこうむるかも分かりませんが、ほとんど多くの人、あるいは一つの会社、商店にいたしましても、必ず他に依存するということが、さも当然のごとく、国民は何をするにしても、国に、何かしてくれるだろう、国が何かするだろう、国が助けてくれるだろう、国が強力してくれるだろうと、全部国に依存している。
で、自分がうまくいかん場合には、環境が悪いんだ、国の政治が悪いんだと、全部下人を他に求めて、そしてものを判断しようとするきらいがあります。
(中略)
こういう考え方をですね、さらにだんだん日本国民がもっていけば、やはり日本の国民はだんだんと弱体化していくんやないかというような感じがいたします。』
上記は昭和42年に語られた内容です。
今の日本を見てみると、まさにその通りの状況になっています。
また、2話目にも興味深い話があります。
『そういう何か事をするというときにですね、そのすることの喜びをもつということは、これはもう、原則としてなけりゃならんと思うんですね。それが生きがいであるということは、もう普遍的に、ぼくは考えていいと思うんです。
そういうものがないということは、それはつまり人ではない、と言うと少し言い過ぎか分かりませんけど、何も目的がない、自分の使命感も何もない、ただ何がなしに生きているんだというような人は、ぼくはありえないと思うんですよね。』
他の話ももちろん良い話があるのですが、この2話に関しては飛びぬけて心に響いてきます。
なるほどと単に納得するだけでなく、一人の人として生きていくうえでの生きざまを改めて考えさせられます。
この2話を繰り返し聴くだけでも、自らを律し、そして行動に移そうという気になります。
ぜひ、この2話は多くの人に聴いてもらいたいと思います。単にテキスト化されたものを読むより、肉声による指摘は、心を捉えて離しません。
既に過去、何十回も同じことを聴いていますが、常に考えさせられる発言です。