ひねもすハトちゃん(著:久世番子)

「ひねもすハトちゃん」(著:久世番子)を読みました。

「暴れん坊本屋さん」で有名な久世番子さんの最新作です。

今まではコミックエッセイが中心でしたが、こちらはオリジナル作品。最後の方に遺跡発掘のコミックエッセイが収録されています。

本編である「ひねもすハトちゃん」はオタクで内気な女子高生のハトちゃんの物語となっています。

高校生にありがちな人付き合いなどもうまく組み込まれているのが特徴的かと。

また、文具屋で働いている売れない漫画家絡みの話も織り込まれており、こちらも楽しく感じます。

特に、人にペンを貸したものの、インクが切れた状態で戻ってきたときのやりとりが考えさせられます。相手も悪いのですが、人に貸したのだからインクが減ること前提であるという指摘を相手から受け、そのあと無反応に。同時にアシスタントの手伝いを頼まれたのですが、この時の反応をどういった意味合いで著者が描いたのか、考えさせられる場面です。

アシスタントでお金が出るから黙ったのか、人に貸したらインクが無くなることもありうるという至極真っ当な指摘に押し黙ったのか。

このほかにも、自分の描いた絵に、上から落書きされた時の友達の反応などが心に響きます。

今までのコミックエッセイの久世番子ファンからすると物足りなく感じるところもあるかもしれませんが、個人的にはお薦めです。