お客に料理の値段を決めさせて本当に利益が出るのかどうか
「ミスター味っ子II 7巻」でお客に料理の値段を決めさせるという方法が掲載されていました。
成り行きは本を読んでもらえればよいのですが、当然漫画ですから、成功するわけです。
しかし、これを実際にやって、成功するかというと、実は失敗する可能性が高いことだったりします。
漫画中にも心ないとでもいうか、10円払って出ていくような人もいました。これは極端としても、そういう人も出てくることは容易に想像できます。
実際の、この手の試みを行ったお店が実在します。
その例では、コース料理を出してお客に値段を決めさせるという仕組みです。
上限は15000円。下は制約がありません。
その結果は...。
確か平均3500円という報道がありました。
そしてお店側のコメントとしては、もう一越え欲しいと。
たぶん、平均5000円前後を目安に考えていたのではと思います。
そもそも、これが成り立つには、まず物の価値がわかる客を相手にする必要があります。価値がわからなければ、当然価格付けなどできるわけもなく。
価値を知るには、食材の価格や土地代、人件費などのその料理にかかわるものはもちろん、他のお店との比較も重要になります。
普段から自らで作るか、他のよいお店に出かけているのでなければ、価格付け自体が困難であるのは言うまでもありません。
それに、こうしたイベントをするところに足を運ぼうという人はどういう人なのかを考えれば、おのずと答えが出るでしょう。
単に面白そうだという人もいるでしょうが、安く食べられそうだから、などという理由の人も多く訪れます。
何より、価値のわかる人間はいちいちこのようなイベント性を持たせたお店に行く必要はなく。
成功させるには、よほどの上客となりうる人でお店を囲うしかありません。それは土地柄などもそうでしょうし、ファンが料理人そのものへついている場合など、特定条件が必要になります。
ただ、そういう人や場所であれば、こうしたイベントのようなものをする必要もなく。
このように考えていくと、そうそう簡単に成功に導くことは困難ではないかと。